増えている子どもの花粉症

お母さん、お父さん世代で、スギ花粉症に悩まされている方々も多いかと思います。では、子どもはどうでしょうか。1~2歳のお子さんでも花粉症ってあると思われますか? 実は数は少ないですが、いるのです。

最近の日本の調査では、0~4歳のお子さんの3・8%にスギ花粉症があると言われており、5~9歳になると30・1%、10代では49・5%と年齢とともに有病率が急激に増加します。

なぜスギ花粉症が増えているのかについては、様々な仮説があります。

アスファルト舗装が増えたため、花粉が空中を舞いやすくなったという説。ウイルスに向かう免疫とアレルギーに向かう免疫のバランスが取れているのが理想だが、ウイルスの少ない衛生的な環境だと免疫がアレルギーに偏ってしまうという衛生仮説。キレイなスギ花粉では反応を起こさないが、大気中の化学物質が結合したスギ花粉だと鼻でアレルギー反応を起こすという説、などです。

花粉症の治療

では、花粉症の治療をするときに、何を目標にしたらよいでしょうか。

一般的には、症状がない、あるいはあってもごく軽度で日常生活に支障がなく、薬もあまり必要でない状態が理想的でしょう。これまでも行われている方法としては、マスクなどでスギ花粉を吸い込まないようにすることや、鼻炎や結膜炎などの症状を内服、点鼻、点眼などで緩和する薬物治療などがあります。しかし、アレルゲン免疫療法を行うことで、そもそも症状が出にくくすることができます。

アレルゲン免疫療法

アレルゲン免疫療法では、アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、長期にわたって症状をおさえたり、やわらげたりできます。

当初は皮下注射で行われていましたが、現在は舌下投与が可能なので、自宅で内服を継続することができ、痛みを伴うこともなく、通院の負担も軽くすみます。3~5年間内服を継続する必要がありますが、その後は中止しても長期的に効果が持続すると言われています。

現在は、スギ花粉症に対する薬と、ダニによる通年性鼻炎(年中続くアレルギー性鼻炎)に対する薬の2種類があり、両方とも内服することも可能です。8割前後の方で効果が見られており、特にスギ花粉症では、治療を開始した次の花粉症シーズンで「去年よりだいぶ楽になった」とおっしゃる方が多いです。わが家の長女も、1歳頃から症状があり、目をこすりすぎて目の周りが真っ赤に荒れていたのが、治療を開始してから症状はほぼゼロで、「花粉症って何だっけ?」と言うくらいです。

アレルゲン免疫療法は、主に小児科や耳鼻科で行っています。5歳以上で開始できますが、スギ花粉症の薬については、スギ花粉が飛んでいる時期には開始できないので、6~12月頃であれば開始可能です。ただ現在、スギ花粉症に対する舌下免疫療法を希望する患者さんが増え、薬の生産が追いついておらず品薄状態が続いています。治療開始希望の方は、まずお近くの医療機関に問い合わせをしていただければと思います。

今回の先生

福井県済生会病院 小児科 石川 さやか先生

社会福祉法人 済生会支部
福井県済生会病院

福井市和田中町舟橋7番地1

TEL.0776-23-1111(代)

※診療時間など詳しくはホームページをご覧ください。