Q. 子どもがなかなか言うことを聞いてくれない…。
そんな時は「アイメッセージ」で伝えてみよう。
親ならば誰もが子どものことを叱ると思います。
しかし、実は叱ることで子どもは期待せぬ学びを多くしてしまっています。
- 叱ることは恐怖の動機付けなので、叱る人がいないと正しい行動をしない
- 命令をされているので考える余地がなく、自分で考え行動できない
- 叱るとは相手を否定することなので自己否定が強まる
などなどまだまだたくさんの副作用があります。
子どもが正しい行動を起こせるようになるために「叱る」ということが必要だとされていますが、むしろ「叱る」ことでは正しい行動は起きません。ではどうすれば良いのでしょうか?
叱るコミュニケーションの特徴は主語がすべて「あなた」になっていることです。これをユー(あなた)メッセージと呼び、相手の抵抗を招くコミュニケーションだとされています。
相手が、自分で考え行動し、相手の気持ちを理解したり、正しい行動を選んで自ら行動を起こしていくようになるためには、主語を「私」にして伝えるといいです。これをアイ(私)メッセージと言います。
例えば、お母さんが綺麗に部屋を掃除した後に、お子さんが散らかすとイライラしますよね。どんな言葉がけになるでしょうか?
ユー(あなた)メッセージ
「(あなたは)片付けをしなさい」アイ(私)メッセージ
「◯◯ちゃんが部屋を散らかすと、お母さんの仕事が増えてとても悲しいよ。」
主語が「私」になっています。つまりは相手を非難するのではなく、相手の行動が受容できない気持ちを伝えるのです。
すると、子どもは権力で命令されたわけでもなく、行動を非難されたわけでもない。ただ、お母さんが受容できない気持ちを知り、自分はどういう行動をとったらいいのかな?と子どもの脳が動きます。これが自分で考え行動するということです。命令ではこの脳の動きは生まれません。
また、人間は、自分の行動を非難されると抵抗が生まれ、恐怖心でもない限り自ら行動を起こそうとはしません。行動の原動力は、叱られるからではなく、誰かの役に立てるからという喜びで行動できる人に育って欲しい。
ならば、叱るということがどれだけ、親が期待する子どもの成長と逆をいく行為なのかということが理解できます。
アイメッセージはテクニックではありません。子どもを信じる親の力が基盤になります。イライラしている状態ではアイメッセージは使えません。子どもを信じることから始めましょう。
今回の回答者

NPO法人パパジャングル理事長
社)ありのままに生きる学校理事長
笑育心理カウンセラー
荒巻 仁先生
日本初のプレーパークと学童保育を融合させた施設「放課後子どもジャングル」を運営。 サマースクールなどを実施し、心を育むことを大切にした教育を実践。