前回に続き、荒巻先生の伝えたい「アイメッセージ」について。
子どもに対して怒ってしまう。その感情の正体とは?

アイメッセージは怒りの感情がある時には使えません

なぜなら「怒り」の感情こそユーメッセージだからです。私はあなたに怒っている。これはアイメッセージではありません。あなたが悪い! 腹がたつ! という相手を責めるユーメッセージです。

この「怒り」は二次感情と言われています。つまり、人間の中にあるものではなく、人為的に作り出す感情であるということです。
そして、「怒り」とは動物が持つ戦いの感情であるため、相手を屈服させることを目的としています。子どもを叱るときに「怒り」の感情がまったく0ということはあり得るでしょうか? つまり、叱るのは子どものためと言いながら、実は子どもを支配し屈服させるために行なっているのが叱るという行為です。
怒りの感情が0だとするなら、アイメッセージは容易に使えます。相手のことを思うからこそ、怒りの感情を使わずに、自分の気持ちを伝えることが可能になるのです。

怒りが第二感情とするなら、その正体はなんなのか?

それが第一感情です。第一感情は「落胆」「悲しみ」「不安」「寂しさ」などが代表的なものになります。
第一回で散らかす子どもに対しての言葉がけは「片付けなさい」(ユーメッセージ)ではなく「悲しいよ」(アイメッセージ)の方がいいとお伝えしたのは、「悲しい」というのが第一感情だからです。

第一感情の背景には「期待」があります。
対人関係は子育てに関わらず「期待」をすると、それは怒りにつながります。

しかし、もし人に対して「期待」を捨てて「信頼」できるようになると、そこに生まれるのは「感謝」だけです。この時に生まれるのが「ありがとう」という感謝のアイメッセージ。結局アイメッセージはテクニックではなく、子どもに対しての「信頼」が言葉に大きく影響します。第一回でも書きましたが、子どもへの信頼が子育ての基盤になります。

今回の回答者

NPO法人パパジャングル理事長
社)ありのままに生きる学校理事長
笑育心理カウンセラー

荒巻 仁先生

日本初のプレーパークと学童保育を融合させた施設「放課後子どもジャングル」を運営。 サマースクールなどを実施し、心を育むことを大切にした教育を実践。