すべてを受け容れる必要はありません
前回、子どもが自己肯定感を育むには、自己受容できることが大切だというお話をしました。
自己肯定感とは、「私は存在していいんだ」「どのような自分にも価値があるんだ」という無条件に自分を受け容れる感覚です。
自己受容とは、「自分の感情を『いい・悪い』のジャッジをせずに、ありのままに受け容れ、ちゃんと自分で抱えて感じること」です。さらに細かく言うと、自分のbeing(=存在、感情)を受け容れるということであり、自分のdoing(=行為、行動)について、何でもかんでも「OK」とすることではありません。
私たちが子どもの存在(being)を無条件に受容できたのは、自分の元へ生まれてきてくれた時ではないでしょうか?とにかく生きていてくれればいい。元気でいてくれさえいればいい。と無条件にその存在を受容していたと思います。
しかし、いつの間にか、行動や結果(doing)ばかりを気にするようになり、常に子どもの行動や結果をジャッジし、褒めたり叱ったりするようになります。これは条件付きの受容であるため、子どもにとっては、自分の存在価値が危うくなり、自己受容できずに、「自己肯定感」が育たないのです。
大切なのは存在(being)の受容です。
存在を受容するコツは、『感情』をそのまま受け容れるということです。
being=存在、感情と覚えておいてください。
例えば、子どもが癇癪を起こして、泣き叫んで物を投げたとします。悔しいね。悲しいね。腹が立つんだね。と子どもが感じる感情(being)は「いい・悪い」のジャッジをせずに、そのまま受容し、感じたことを大切にしてあげます。そして、少し落ち着くのを待ち、物を投げたこと(doing)については、受容できないことを伝えればいいのです。
次回は自己受容するには心の器が必要だというお話をしたいと思います。
今回の回答者

NPO法人パパジャングル理事長
社)ありのままに生きる学校理事長
笑育心理カウンセラー
荒巻 仁先生
日本初のプレーパークと学童保育を融合させた施設「放課後子どもジャングル」を運営。 サマースクールなどを実施し、心を育むことを大切にした教育を実践。