心の器のお話
前回、doing(行動)の受容ではなく、being(存在)の受容が大切だというお話をしました。今回は自己受容するには心の器が必要というお話をします。
私たちは一人ひとり、自分の「心の器」を持っています。その「心の器」が丈夫であればあるほど、自分のさまざまな感情を、あるがままに受けとめて、しっかりと感じることができます。 つまり、「自己受容」することができるのです。
では、心の器はどのように作られるのでしょうか?
子どもは、泣いたり、笑ったり、怒ったり、ダイレクトに感情表現をしますね。それは心の器が未熟で脆弱なため、自分で自分の感情を抱えることができずに、外に出しているのです。
このように、子どもが感情を表現したときに、親は、子どもの感情を受けとめる「器」の役になって、子どもの代わりにその感情を受容します。
ですから、子どもの感情に対し、「泣くな!」「怖がるな!」「ヘラヘラするな!」と否定すると、「泣く自分はダメな人間だ。」「怖がる自分は生きる価値がないのだ」「ヘラヘラする僕はダメなんだ」と自己否定感を強めていくことになります。
親は、子どもの感情を受容することによって、子どもの「心の器」になってやることができます。そして子どもは、この繰り返しにより、親の「心の器」の機能を自分の中に内在化させ、自らの「心の器」を形成していきます。こうして「自己受容」する力が育まれていくのです。
私たち親も、幼い頃、自分の感情を否定されて育ちました。実は私たち自身、自己受容ができていないのです。子どもを受容するためには親自身が自己受容することが大切になります。
私たち親こそが、「もっと自分を大切にしてもいいんだよ」と自分を許し、どんな感情も無条件に受け容れ、心の器を丈夫なものにしていきましょう。
親が自己受容できると、子どもも自分を受け容れ、輝き始めるのです。
今回の回答者

NPO法人パパジャングル理事長
社)ありのままに生きる学校理事長
笑育心理カウンセラー
荒巻 仁先生
日本初のプレーパークと学童保育を融合させた施設「放課後子どもジャングル」を運営。 サマースクールなどを実施し、心を育むことを大切にした教育を実践。