子育てについて祖父母と意見が合わない時、どうしていますか?
少子高齢化とともに核家族化が進行し、子どもと親だけの家庭が増えています。祖父母は遠方にいて、お盆や年末年始にしか会わないので、子育てについて相談したくても出来ない家庭がある一方で、祖父母と同居、もしくは祖父母が近くに住んでいて、子育てでよく衝突する家庭もあります。
考え方や価値観の違いを受け入れましょう
親と祖父母で意見が食い違うのは、生まれ育った時代、社会、教育が違うのですから当然のことです。親の心配をよそに、子どもは親や祖父母の考え方や立場に違いがあることを無意識のうちに理解しています。例えば、親に甘えて駄々をこねていても、祖父母の前では我慢して頑張ったりするのは、子どもが親や祖父母のこのような違いを理解しているからです。
子育てには、いろんな価値観や意見があっていいと思います。この多様な考え方が子どもを成長させるからです。何が正しいのか、自分は何を欲しているのか、子どもは成長するにしたがって自分自身で選べるようになります。
しつけや教育方針は親が決めるもの
祖父母が近くに住んでいて、子どもにお菓子を食べさせたり、我慢させていたおもちゃを買い与えたりした時などに、どうしても意見を言わなければならないこともあるでしょう。どうしても守って欲しいことがある時は、祖父母にしっかり伝えて、話し合うといいでしょう。家族で共通のルールを決めておけば、お互いに不快なトラブルを防げます。母親が義父母に意見する必要がある時は、お父さんの出番です。父親として実父母に毅然と意見してください。子育ての方針については、医師(特にかかりつけの小児科医)や保健師の言葉として伝えると素直に聞いてもらえることが多いようです。
子どものしつけや教育方針は本来、親が決めるものです。大切だと思うことは、いろいろ迷わずに伝えていく努力をしましょう。このようなコミュニケーションの積み重ねが、子育て環境をより良いものとしてくれます。
祖父母は大切な子育てサポーター
子どもにとって、祖父母は両親と違った形で愛してくれる貴重な存在です。また、親が困っている、あるいは忙しい時に育児を助けてくれる存在でもあります。子育てに関わりながら、祖父母も子育てサポーターとして成長しています。
立場や考え方が違っても、大切にすべきは、家族みんなで子どもの成長を尊び、愛おしく思い合う“恕の心(思いやりの心)〟であると思います。

今回の先生
福井県済生会病院 小児科 主任部長
岩井 和之先生