低身長とは

生まれたときには体が小さくても成長につれて標準に追いつく場合も多いので、3歳ぐらいになっても身長が標準偏差マイナス2以下(マイナス2SD)の状態を「低身長」と診断しています。生まれたときから現在までの身長・体重を標準成長曲線に書き込んで確認します。身長・体重の記録が曲線の標準範囲(マイナス2SD〜プラス2SD、95%のお子さんがこの範囲内にあります)の下線より下にある場合、低身長と判断します。

低身長の原因

低身長の原因には、成長ホルモンや甲状腺ホルモンなどホルモンの分泌異常によるもの、先天的な染色体異常によるもの、腎臓や肝臓、心臓の慢性的な病気によるものがあります。また、栄養状態や強い精神的ストレスが発育に悪い影響を与えることもあります。さらに、低出生体重児のなかには、在胎週数に比べて生まれつき身長・体重の小さい赤ちゃんがいます。多くは3歳までに標準値に追いついていくのですが、なかには標準範囲に入らない事があります。そうしたお子さんは生涯にわたって小柄なことが多いようです。しかし、このような問題がないのに身長があまり伸びないというお子さんもいて、そういう場合の多くはご両親も小柄で遺伝的な体質によるものと考えられます。

乳幼児期の身長・体重の伸びが悪いお子さんでは、このような成長を妨げる病気がないかどうかをまず調べます。

低身長の治療法

現在、成長ホルモンの分泌不全や、成長ホルモンは分泌されていても反応が悪いために起きる低身長症に対して成長ホルモンを投与する治療が行われています。最近では、治療対象がやや広がったこともあり、身長の伸びが悪いお子さんに治療を希望する保護者もいます。

ただし、検査結果が治療の基準に合っている場合に成長ホルモン治療をお勧めしますが副作用もありますので、低身長のお子さんへの安易な使用は勧められません。成長ホルモンが正常に出ているお子さんに成長ホルモンを用いると過剰となるからです。お子さんの低身長を心配されている保護者の方には、診察を一度受けて治療が必要な病気がないか確認しておくことをお勧めます。

よく食べ、よく寝て、よく遊ぶ

最後に、子どもの心身の健やかな発育には栄養や運動、生活リズムが大きな影響を与えます。とりわけ、たんぱく質が豊富なバランスの良い食事を与えることは元より、「よく食べ、よく寝て、よく遊ぶ」を念頭に生活環境を整えてください。この3つはお互いに関係して、子どもの成長ホルモンの分泌を促し、成長期の発育・発達に良い影響を与えます。さらに、意欲にあふれた積極的な生活態度や明るい性格などはこころの発達にも良い影響があるでしょう。

今回の先生

岩井 和之先生

福井県済生会病院 小児科 主任部長

岩井 和之先生

福井県済生会病院

社会福祉法人 済生会支部
福井県済生会病院

福井市和田中町舟橋7番地1

TEL.0776-23-1111(代)

※診療時間など詳しくはホームページをご覧ください。