例年通りの暑い夏が終わりましたが、秋でもまだまだ気温が高い日が多く、熱中症への注意が必要です。30度を超える炎天下にいると、多量の汗で水分や塩分が体から失われるために体温調節が上手くできなくなります。子どもは大人に比べて暑さに弱く熱中症になりやすいため、水分や塩分の補給について気をつけましょう。

大人より暑さに弱い

子どもは体温の調節がとても未熟です。特に汗をかく働きがとても未熟なので体温を下げるのに時間がかかります。また、体の水分の割合が大人より大きいため、外気温が体温より高くなると熱が体の中にこもりやすくなります。

照り返しの影響を受けやすい

子どもは体重に対して体表面積が広いため、周りの環境からも影響を受けます。また、大人よりも身長が低いので、地面からの照り返しを強くうけます。大人が暑いと感じている以上に、子どもは暑さを感じています。例えば、大人の頭の高さで外気温が32℃の場合、子ども頭の高さでは35℃程度になります。

自分では予防できない

子どもは自分から体調の変化を伝えられません。屋外でずっと遊んでいると夢中になってしまい、体調の変化に気づけないこともしばしばです。まわりの大人が外遊びをする子どもの体調に気にかける必要があります。

子どもの熱中症の予防

こまめな水分と塩分の補給を心がけましょう。「喉が渇いた」と思った時にはすでにかなり水分が失われていることが多いです。炎天下の活動における水分補給については、9〜12歳では100~250mLを20分毎、思春期では1時間で1~1.5L程度の水分を摂ることが目安になります。補給するのは電解質などが含まれたイオン飲料が望ましいです。

帽子をかぶり、通気性の良い服を着せましょう。こまめに日陰・屋内で休憩することも忘れないでください。高体温の兆しと考えられる赤くほてった顔、大量の汗に注意しましょう。車内や屋内では適切な温度(25〜26度)でクーラーを使用するようにしてください。

子どもが熱中症になった時は?

熱中症が疑われる状況では、少しでも意識状態がおかしければ救急車を呼んでください。体の中の体温(深部体温)が高くても、腋窩温では正常のことがあります。まずは体を冷やし続けることが大切です。意識がしっかりしている時は、イオン飲料などを摂らせて、涼しい所で休ませ、体を冷やして経過観察してください。
以上のことを守りながら、規則正しい生活と食事、十分な睡眠にも心配りしましょう。

今回の先生

岩井 和之先生

福井県済生会病院 小児科 主任部長

岩井 和之先生

福井県済生会病院

社会福祉法人 済生会支部
福井県済生会病院

福井市和田中町舟橋7番地1

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